はじめまして、ブログをご覧いただきありがとうございます。

私、non71と申します。

今回から私の本に関する思い出と、その本の紹介していきたいと思います。よろしければお付き合いください。

遠藤周作『海と毒薬』

遠藤周作は日本の現代作家です。現代といっても昭和の30年代頃の作家ですから、今から約60年ほど前に活躍していた作家です。同期には三浦朱門、曽野綾子、吉行淳之介などがいます。代表作は『沈黙』『深い河』などがあります。「白い人」は芥川賞を受賞しています。

私が遠藤さんの『海と毒薬』に出会ったのは中学1年生の時です。

その頃私は、小説にさほど興味がなくどちらかといえば漫画が好きな子どもでした。(今でも漫画は好きです)。家で寝転びながら、ふと視界に入ってきたのがこの本でした。

あらすじ

語り手の「私」は肺気胸を患っていて、毎月医者にかからなくてはいけません。しかし「私」はここに引っ越してきたばかりで良い医者が見つからず困っていました。近所の人に医者のあるところを聞き、行ってみるとそこにはくたびれた一人の医者が医院をまわしていました。

彼は変った男で、もくもくと仕事をする、金の要求をしない(近所の人が金がないのでタダで見てもらっていました)、そのくせ腕は一流なのです。しかし、どこか不気味な空気が漂う医者に「私」は不安を感じてしまいます。

その時期に、義理の妹の結婚式に、身重の奥さんの代わりに行くことになりました。

場所は九州です。彼は結婚式に出席し、ふと、地元の人々があの医者と同じ方言なことを思い出し、周りの客にその変った医者の話をしました。

すると不思議なことに、招待客の一人が彼のことを知っていたのです。

その男の話によると、医者は戦中に外国人の捕虜を生きたまま解剖する実験に立ち会った医者であるというのです。戦後その実験に立ち会った医者たちは裁判にかけられているので、その医者の名前も新聞に載っているだろうと話してくれました。

「私」は翌日、地元の図書館でその記事を探し、実験が行われたであろう病院にも足を運びます。

屋上からは海が見え、それがどうにも黒く「私」は不思議な気持ちになるのです。

九州から帰った「私」は、また医者のもとに向かいました。そして、九州に行ってきたことを話します。初め医者は何も言いませんでした。しかし、ひとこともらすと、「私」に処置をしてそのまま帰します。

「私」はこれからもあの医者に通うかどうかをひとり悩みます。

導入の部分だけですが、あらすじはこんな感じです。

その後は、時間が戦中に戻ります。若い時の医者や、医者の友人、看護婦の視点から小説が語られていきます。どのキャラクターも皆一様に悲しげなのが印象的です。

読んだそのときの感想

初めて小説というものを読んで、とても難しかったのを覚えています。

今まで私は児童文学ぐらいしか読んだことがなかったのです。(児童文学は今でも好きです)。知らない感じも多かったですし、今ではスラスラ読める文章も当時は飛ばし飛ばし読みました。

そして意味も分からずなぜか泣けてきたのです。今でも、どうして泣いたのかうまく説明できません。

ちなみに泣いたシーンは、医者が実験に参加するも何もできずに床に座り込み、誰かと対話しているところです。誰かというのはおそらくイエスでしょう。

当時は知りませんでしたが、遠藤さんはカトリックです。なので小説のモチーフとしてもよくイエスがでてきます。

私自身は、宗教などこれっぽっちも信じていませんが、それでも遠藤さんの小説にたびたび出てくるそのモチーフに何度も泣かされています。彼のイメージするイエスはとてもみすぼらしく、弱虫ででもとても優しい男であることが多いのです。

先にカトリックであることを知っていたら、この方の小説は読まなかったでしょう。

ちなみに続編と言われている『悲しみの歌』ですが、私はこちらが一番好きな小説です。出てくるキャラクターが皆、どこか人間くさく悲しいのが特徴的です。これは遠藤さんの小説全般に言えるかもしれません。

これ以降私は読書にはまっていきました。

とりあえず同じ作者の出ている本を片っ端から読んでいこうと調べたところ、遠藤さんはとてもたくさんの本を書いていたのです。大まかに分けると、小説系とエッセイ系、一般の方にはエッセイのタイトルにもよく出ている「狐狸庵先生」という呼ばれ方の方が親しまれていたようです。

エッセイは今読んでも面白いものが多いです。言葉は悪いですが、いい年した大人が本気でイタズラをしてみたりくだらないことに情熱を注いでいたりして、読んでいても「こんなことまでするのか」と驚き半分笑い半分の内容になっています。

今回はこの辺で終わりにします。人に小説をすすめるのがあまり得意ではないので、読んでみてくださいとは言えませんが、興味がわいてきた方は是非どうぞ。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。