こんにちは、non71です。

人に生まれたからには楽しく恋して、素敵な人と結婚して幸せになりたいですよね。私もです。

しかもできれば、とびきりロマンチックなやつでお願いしたいです。漫画やドラマに出てくるようなヒロインになりたいのです。あんなに美女ではありませんが……。

理想は高く、とはいっても私ももう30歳になろうとしています。

いつまでも夢見る夢子ちゃんでいるのは厳しいものがあります。この年齢でいつまでもアッパッパーなことを言ってるやつは一生結婚なんて出来ないでしょう。

もちろん、分かっています。私も現実と理想の区別ぐらいついております。

なので現実に望むことはつつましく、淑女のようなささやかなものにしているつもりです。

でももしかして、その現実的な願いも最早叶わぬ高望なのかと思ってしまうことが多々あるのです。恐ろしいですね。背筋が寒くなります。

皆さまにもありませんか。いつの間にか「お前にそれは無理だ」と言われるのではないかという恐怖が。しかもそれが年齢によるものだとしたら、もう取り返しのつかないものだとしたら怖くないですか。

よくテレビなどでもありました。

年収1000万円の男ではないと無理。長男も嫌で、同居は絶対ない。そして自分は専業主婦で子どもはいてもいいけれど、きちんと育児に参加してくれるような男が条件であるなどとほざいている女性が見合いにチャレンジするという企画。

決して人の顔面を評価できるほどの美貌ではございませんが、そういってテレビに出ていた女性はお世辞にも美女とは言い難いのです。しかも本人は家事手伝いときた日には、もうテレビの前の視聴者老若男女怒りの舞を踊れるくらいだったのではないかと想像にたやすいでしょう。

なぜ人間は分不相応な夢を見ている者に憎悪を抱くのか。

そんなことは知ったこっちゃありませんが、間違いなく私も憎悪を抱いた一人なのでした。

しかし、あれほどの高望みをできる自信はいったいどこからやってくるのか。彼女を尊敬に値する唯一の長所とも言えるのではないでしょうか。

もちろん、あれはテレビのやらせなのかもしれません。視聴者をテレビに集中させるための罠だったのでしょうか。それは分かりませんが、日本中の未婚者のまともな女性の大多数は思ったはずです。ああはなるまい、と。

あの彼女に共感をした方がいたら申し訳ありませんが、私はあいにく多数派でした。あんな高望みをして恥をかくまいと心に誓ったものです。

心に誓って数年。

ふと我に返ると私ももう30が目前と迫っています。

そして昔心に決めた「高望みません、勝つまでは」の精神で掲げてきた結婚ないし結婚前提の恋人への条件が、もしかすると、それすらも高望みなのではないのかと不安に感じてきたのです。

とはいえ、すぐには認められないのがこの年齢の女。

いやいや、まさか、いくら30近いといっても、ここを妥協したらいけないでしょうと鼻であしらっていましたが、友人が次々と結婚していくなかで、彼女らの旦那を見ているとどうもそんな気もしてきます。

昔はよく聞こえていたあの会話が、ここ最近めっきり聞こえないのです。

「ゆうこ(仮名)のやつよくあんなデブと結婚したよね。まあ優しそうだけど」

「旦那の会社聞いた?中小だって。せめて田舎の人と結婚するなら公務員とかじゃないとねー」

きゃいきゃいと人の旦那を値踏みしていた彼女らは、いったいどこに消えたというのでしょうか。もしかして、もう結婚をしてしまったのでしょうか。

年収1000万とは言わないから、せめて公務員がいい。ハゲは嫌。低身長も嫌。同居はちょっと困る。彼女らの条件がそれほど厳しいとは、若い頃は感じませんでした。

なぜなら私たちには若さがあったからです。若さはその時だけに発動できるスペシャルカードのようなものです。魔法のカードです。これがあれば、ある程度の顔でもワガママも条件のひとつと思ってくれる男がたくさんいたのです。

私たちはその魔法のカードに期限があることもちゃんと分かっています。いえ、分かっているつもりでした。あと少しだけ、あともう少しだけ、まだまだ大丈夫、カード使える使えると見て見ぬふりを続けています。

そして気がつけばもう30手前です。

条件を挙げると渋い顔をする人が増えました。もちろん、あのテレビの女のように図々しく言ったりはしません。きちんと謙虚に、何でもないことのように宣言するのです。それでも変な空気になってしまいます。

私は何かおかしな条件でも出しているのかしら、と一瞬頭をよぎります。しかし、ダメです。

もう魔法のカードが効くことはないでしょう。

賢く素晴らしい女性であれば、魔法のカードはめったに使いません。もしくは他のカードと併用するのです。知性やお金、才能、家柄など、期限のないカードたちと一緒にです。

私はまだ自分の条件が高望みなのかどうか答え合わせができません。