新入社員を迎えてもすぐに退職してしまう…そこを埋めようと中途採用者を迎えても育つ前に退職してしまう…そんな悪循環に陥っている会社も少なくないのではないでしょうか。
うちの会社はそこまで大きな問題と言えないとはいえ、若手社員の早期退職は課題の1つとして捉えています。
そこで今回はうちの会社で実践している若手社員の早期退職の対策をご紹介していきます。
若手社員の早期退職の現状
ちなみにここでの早期離職は入社3年以内に退職することとして紹介していきます。
厚生労働省のデータに大卒:32.3%、短大・専門卒:41.3%、高卒:40.8%、中卒:67.7%の早期退職率と言うものがありました。
うちの会社は短大・専門・大学卒の方を採用していて、それを合わせた早期退職率は26%ほどなので、平均より低い水準と言うことがわかりました。
ですが、欲を言えば退職して欲しくないし、こちらの働きかけで退職抑制出来るなら対策したい。そう思い、早期退職していった若手社員に退職の理由をぶっちゃけてもらいました。
若手社員の早期退職の理由
ここでもまずは厚生労働省のデータを確認します。
(単位:%)
退職理由 | 合計値 | 詳細 | |||
具体的理由 | 男性 | 女性 | 平均値 | ||
労働条件
(賃金・労働時間・休日) |
29.5 | 労働時間・休日等の条件が悪かった | 19.6 | 15.4 | 17.5 |
給料等収入が少なかった | 10.5 | 13.5 | 12.0 | ||
適正・能力の発揮できない | 12.4 | 仕事の内容に興味を持てなかった | 10.9 | 7.6 | 9.3 |
能力・個性・資格を活かせなかった | 3.1 | 3.1 | 3.1 | ||
職場の人間関係 | 9.45 | 人間関係が良くなかった | 5.3 | 13.6 | 9.45 |
うちの会社では「労働条件」に対しての不満は少なく「人間関係」や「能力を活かす前にやる気がなくなってしまった」と言う理由が多く上がりました。
早期退職を抑制するための対応策
先ほどの一般的に若手社員の早期退職につながりやすい理由と、うちの会社で多く上がった理由をもとに対応策を考えてみました。
- 若手社員が成長できるチャンスをたくさん与える
若手社員の大きな特徴に「成長意欲と貢献意欲が強い」と言うものがあるそうです。
実際、うちの会社でも早期退職した若手社員の多くは「研修が少ない」「現場で教えて貰える内容では不十分」と感じていました。
若手社員には「成長して社会や会社に貢献しよう」という意識があるので、それに応えられないのは会社の責任と言えると思います。
そのため、うちの会社では毎月1回同期が揃って研修を受ける機会を設けました。
- 若手社員を孤独にさせない
若手社員の多くは社会に出る喜びと不安に押しつぶされそうになっています。
年長者とのコミュニケーション手法がない方も多いのでコミュニケーションに悩む方も少なくないでしょう。
しっかりと先輩社員等が若手社員とコミュニケーションを取るようにしていれば問題ないと思いますが、自身の仕事もあるので出来る時と出来ない時があると思いますし、やはり人間なので合う・合わないもあります。
そうしてコミュニケーションが取れない中、月日が経ち、誰にも相談できない中、1日を過ごすことはとても辛いことだと思います。
うちの会社では毎月の研修の前に、若手社員とトレーナー、人事担当者の3者面談を実施し、人間関係が築けていない場合はコミュニケーション手法の研修を実施したり、それでも難しい場合は職場の異動を図ったりしています。
- 「会社の風土」「仕事を楽しむ風土」の醸成は1年以内に
「三つ子の魂、百まで」と言う考え方にもあるように学生から社会に飛び出した瞬間から今後の社会人としての考え方が作られるといっても過言ではないと思います。
つまり若手社員の多くは入社1年間に感じたことや考えたこと、先輩社員からの教えをもとに今後の仕事をする上での基礎となる考え方を構築します。
そのため、うちの会社では毎月の研修で「嬉しかったこと」「辛かったこと」「頑張ったこと」を同期で共有し、仕事をする上で感動したことをしっかりと記憶に刻み込ませ、辛いことがあった時は、その感動体験を思い出し、頑張りの原動力にするように育成していきます。
- 上司は若手社員の「親」となる
目上の人間を絶対的な存在と考える傾向は、特に新卒の社員では顕著に現れます。管理職や教育係等の方は、若手社員にとって“初めての上司”であることを常に意識すべきだと思います。
1つの些細な行動や言動が若手社員を落胆させる危険性がある。と言うことを念頭に置いてください。
うちの会社では新入社員研修を店長やトレーナーにも見学いただいて、研修の内容をもとに教育に関する考え方を認識してもらうようにしています。
若手社員の退職理由には賃金や社内制度など、変えていくことが困難な部分もあることは確かです。
ですが、育成方針や上司の意識改革など、可能なところから対応策を図っていくことが重要だと思います。この内容が少しでも参考にしてもらって、ご自身の会社独自の対応策を考えていただければと思います。